『トクサツガガガ』をすすめたい

唐突に他作品のステマをします。


トクサツガガガ』という漫画作品をご存知でしょうか。


先日 最新刊の13巻が発売されたばかりのこの作品。
特撮オタクのOLが特撮作品を楽しみ 大好きな特撮作品を糧に日々の生活を送る日常を描いた作品ですが、オタクの皆さんはこの作品をオタ活*1の教科書にしてほしいと私は内心思っています。
この作品を知ってオタ活の教科書にする方が増えることを願い、ステマ記事を書きます。



特撮作品への出演経験がある若手俳優さんやスーツアクターさんが出演されている忍ミュと特撮沼は目と鼻の先というかお隣さんのお宅程度の距離にそれぞれ存在しているというか、それくらい近いものに感じます。忍ミュは後楽園のヒーローショー専用劇場で公演が行われているし。


つまり、この作品は特撮オタクでなくても特撮とはお隣さんの関係の忍ミュを観ている忍ミュファンにうってつけ!!
さらに、スーパーヒーロー戦隊シリーズ仮面ライダーシリーズなどの特撮作品と同じキッズ向けコンテンツの忍たまファンも共感する部分が多いはず。
特オタ*2以外、オタク趣味を持たない一般の方もこの作品を楽しんでいらっしゃるから、いわんや忍ミュ・忍たまファンをや……です。



忍ミュキャストが二年連続でスーパーヒーロー戦隊シリーズ作品にキャスティングされた昨年か一昨年にでもこの記事を書けば良かったのかもしれませんが、それはそれということで。



【この記事はネタバレを含みます!!】



私自身は 特撮に関しては「炎神戦隊ゴーオンジャー」と「仮面ライダーOOO」しか完走したことのない素人ですが、現在進行形でキッズ向けコンテンツ(二次元~2.5次元)のオタクをしています。なので、その立場で話を進めていきます。
ちなみに先日「仮面ライダーアマゾンズ」も完走しました。



トクサツガガガ』は、都内に住む特オタ(特撮オタク)OLの仲村さん(愛称:叶ちん)が大好きな特撮作品の熱いスピリッツに力を貰い背中を押され
マジメにしゃかりきに……ではなく時にはグダグダとゴロゴロする時もあれど、毎日辛い仕事を頑張り、家事をこなし、気を遣い人付き合いをして現実をサバイブしたり、
反対に現実の身近なあれこれからストレスフリーにもっと楽しくオタ活するヒントを得たり、プリキュア的な女児向けアニメのオタクやBOYS AND MEN的なローカル男性アイドルを推すドルヲタ達と交流したりする話。


特撮オタクあるある満載、特撮作品や特撮コンテンツ、アニメ作品の豆知識満載。キッズコンテンツあるあるもあり。

なぜかドルオタ……ドルオタというか最早ボイメン*3ないし若手俳優オタだわ。なぜか若手俳優オタクあるあるもあり。ついでにメタルあるあるもあり。
本当になんで若手俳優オタクあるあるまであるんだよ。メタルは作者の趣味。


オタクあるあるネタを推してしまいましたが、それだけで終わらないのがこの作品のすごいところ。
それをこれからお伝えしていきます。



オタクあるある

「オタクあるあるだけではない」と先述しましたが、オタクあるあるネタが描かれていることもまた事実なので、まずはそこからいきましょう。

グッズの主張が激しい

特撮オタクを隠して生活している叶ちんは、オタバ*4を恐れて誰一人としてオタク仲間を作らずに一人ぼっちでオタ活をしていた。
しかしある日、叶ちんは偶然 電車で現行戦隊*5のキーホルダーを鞄につけた見知らぬお姉さんを見かける。
お姉さんもこの戦隊がお好きなんですね!! 私もこの戦隊が好きなんですとお姉さんに伝えたい!

だがしかし……特撮作品のグッズはもれなくレッド!ブルー!イエロー!の原色バキバキのスーツ姿のヒーローがこれでもかと主張してくるものばかり。
特撮のヒーローはかっこいいけど、グッズとなると話は別だ!グッズがダサいんだよ!! こんなんOLが普段使いできるか!!
しかし私も同じ作品を愛する同志だと、グッズを身に付けて意思表示したい!! もっとイクトゥス*6みたいなデザインのグッズ出せや!! と叶ちんは頭を抱えるのだった……。



子どもはヒーロー(キャラクター)が描いてあるものの方がわかりやすいし喜ぶから、キッズ向けコンテンツのグッズは必然的にそうなる。特撮ヒーローものの場合はさらにそれが顕著だよな……。子ども第一だからね。

なので恥を捨ててグッズを身に付けるか、まったく普段使いせずに 購入した後はそのグッズは家で保管、グッズはその後 陽の目を見ることなくその命が終わるかの究極の二択となる。
オトナ女子が持ち歩いても違和感のないデザインのグッズを公式*7が出しても、それはそれで場違い感否めなくてビビるんですけどね。

その後、叶ちんは電車で見かけたお姉さんに「私も仲間なんです!」と伝えられたのか!?
それはご自身の目で確認してほしい。


改変リメイク作品問題

公開されたばかりの邦画の特撮映画作品がカッコよくて、ツボにハマった叶ちん。
出かけ先で、その作品のキャラクターのグッズを持っているおじさんを見かける。
初めてこの作品のファンの方に出会った!! と嬉しくて一緒に話をするも、何故かおじさんのテンションがいきなり低くなる。

実は叶ちんが好きになった作品はテレビで40年ほど前に放送されていた特撮作品のリメイク版映画で、原作ファンのおじさんからしてみたら そのリメイク版はあんまり喜べない仕上がりの作品だったのであった……。
原作ファンのおじさんと気まずい空気になってしまった叶ちんはその後、どんな行動をとったのか。



うわ~~思い当たりある……。
聖闘士星矢も四年前にリメイクのフルCG映画が公開されたけど、アレンジ入りまくりで もはや聖闘士星矢ではない別の何かだった……。

CGはすごかったし聖衣*8のデザインとメタリックな質感とアクションはかっこよかったんだけどさ……でも聖闘士星矢かと言われるとちょっと悩む部分があるというか……この話はこれ以上はやめておきます。




マイナス感情を昇華する

リメイク作品の存在意義

このお話は、叶ちんの特オタ仲間の吉田さんが ゴジラ的な特撮シリーズの中でも黒歴史呼ばわりされているようなチャチなロークオリティ作品を好きだと語る展開へと続きます。
なぜ吉田さんはよりによってそんな黒歴史的な駄作にいってしまうのか……それには理由がありました。
吉田さんが幼い頃にテレビで放送されていて、よく見ていた作品がそれだったのです。


吉田さんはこう語ります。

誰がなんと言おうと、私の一番そばにいて、他のダゴン*9のところに連れていってくれたのは、ダゴンくん*10なんですよ。


私も幼い頃、夕方に忍たまをテレビで見ていました。
今でこそ原作の落乱*11もアニメの忍たまもどちらも大好きな欲張り派ですが、忍たまを幼い頃に見ていたから落乱の存在を知り落乱を読むに至ったし、私の忍たまのルーツは何かといえば完全にアニメの忍たまです。
アニメは原作の一部を無視してアニメオリジナルのアレンジがされていることも知っています。アニメ独自の世界観が広げられていることも知っています。
それらが事実である一方で、私の忍たまのルーツはアニメの忍たまであることもまた事実なのです。



リメイク作品が作られたりアニメ化や映画化されることで、その作品を見て原作を知る人がいる。原作に触れてみようと思う人がいる。
原作という素敵な作品に導いてくれる作品。自分の世界を広げてくれる作品。
それらの作品の存在意義はそこにあるのです。



そういえば、聖闘士星矢の映画に興味を示して観てくれた知り合いが何人もいます。映画を観てから原作を読み、作品のファンになってくれた知り合いもいます。こんなに嬉しいことは他に無いじゃないですか。
映画が作られ公開されたから、原作を読むに至った人が確かにいるじゃないですか。
この世の全てのリメイク作品・アニメ化作品や映画作品は、誰かにとってのルーツかもしれないのです。




トクサツガガガ』はこのように、オタ活をしていて時折感じるモヤモヤ……とした感情を昇華するヒントをしばしば与えてくれます。
マイナス感情が消えるだけでなく、プラスの方向に昇華される。マイナスをプラスに転換させてくれるんです。




作中作のセリフが熱い

この作品には 主人公の叶ちんと愉快な仲間たちが大好きな架空の特撮作品や様々な作品が登場するのですが、それらの作品もまたアツい! シビれる台詞の数々に触れるたびに、心にボッッと熱い火がつきます。
これらの作中作の台詞が、現実を生きる叶ちんたちの心情とリンクすることで、さらに味わい深く熱いものになるのです。

作中作の台詞はお話の核心を表現していることが多いのであまり多くは語れないのですが、そんなシビれる作中作の台詞を少し紹介いたしましょう。

恒星ばっかが星じゃねぇ… 光はなくても星はある!
見えないからってナイと思ってってと、痛い目見るんだよ!

見える星も、見えない星も、全部があって宇宙のパワー。
それが俺様達、ストレンジャーⅤの信念!

ヒーッッかっこええ~!!
いやでも前提がわかってないと何もわからんなこれ。
宇宙戦隊キュウレンジャー」的な異星人で構成された戦隊を想像して貰えれば話は早いです。
この台詞は特殊能力持ちの異星人たちの中でただ一人、特殊能力を持たない地球人戦士が言ったもの。ポケモンでいうノーマルタイプ戦士。特殊な属性がない分、致命的弱点がないのです。
ヒャ~ッそれにしてもかっちょええわ……。


(略)皆で話し合いました。
変わらないものも、同じものも、何一つないと、
たとえ かつてと同じ道を行くことになっても、同じ轍をつけるワケではありません。

俺達は俺達で考えて、その道を行くんです。

柔らかい言葉の中に古風な言葉が入るこのバランスがたまらないです。渋い言葉選びが心をくすぐります。





清きオタクとして生きるための教訓

最後に一つだけ紹介させてください。



トクサツガガガ』は

自分が熱中しているモノの全てから学び取って、現実をより良くサバイブしよう!

現実から学び取るものを学び取って、オタ活をもっとエンジョイしよう!

と謳う作品だと思っています。



自分が熱中している特撮作品も、アニメ作品も、漫画作品も、舞台作品も、アイドルも、若手俳優も、音楽も、全て夢の世界ではなく現実に存在する。
これらのものは全て我々の現実と断絶しているのではなく、我々の現実世界に密接に結び付いているのです。


だから我々が現実世界をサバイブして経験を重ねていけばいくほど、気付きが増えて"熱中しているモノ"がさらに味わい深く感じられる。



反対に 現実でやましいことをすれば、必ずどこかの瞬間に 鏡のように"熱中しているモノ"を通して自分の後ろめたさをフラッシュバックさせる。


どーしても欲しい気持ちは僕もありますけど、
それ見るたびに、これでよかったのかなって気がするじゃないですか。

スキなモノ見てイヤな気持ちになるのは、最終的には損ですよ。

これはサーチ行為*12をされたパッケージが潰された商品を見つけた時の、お菓子屋さんの息子の任侠さんの台詞。



オタクを数ヵ月もやっていると、思い出と共にオタ活関連でも「あの時はやらかした!」と思い出しては自己嫌悪に陥る記憶も出てくるじゃないですか。

誰しも失敗はする時はあるけど、大好きなものを見て後ろめたい気持ちが蘇ることはないように
せめて、後ろめたいことはやらないようにしよう。
これは自分自身が平穏でいるためにも大切なことです。

ただでさえ現実を生きていたら、辛いこと悲しいことがたくさんある。
自分が大好きなものを見てまでマイナスな気持ちになるようなことをして、どうするんですか。そうなればもういよいよどこにも逃げ場がなくなってしまうじゃないですか。

いつでもそこに行けばポジティブな気持ちになれる自分の心の聖域(サンクチュアリ)は、清浄なままにしておこうじゃないですか――。
やらかして後悔が残る経験者との約束だぞ!ほんと辛いからな!





ここまで長々と紹介させていただきました。

読めばオタクの熱き血が騒ぐ『トクサツガガガ』、アツいけど気軽に手に取れる作品なので、気になったらぜひ この機会に読んでみてください。

私は3巻の 任侠さんがプリキュア的な女児アニメのファンになった小学生時代の話が大好き……。
読むたびに自分自身の過去と重ね合わせてウルッとくる話なんです。作中作の苦しみながらも闘い続けるプリキュア的ヒロインの台詞にじいぃんときます。

でも2巻の叶ちんの小学生時代の兄ちゃんとの思い出の話も、胸があたたかくなるチョッピリ良い話なんだよな……。

*1:オタク活動の略

*2:特撮オタクの略

*3:東海地方のご当地男性アイドルグループ:BOYS AND MENの略

*4:オタクがバレるの略

*5:現在 放送されている戦隊モノ

*6:隠れキリシタン同士が、相手がキリシタンかを判別するための隠れシンボル

*7:作品の公式ライセンスが与えられたものも含めて公式と呼ぶ

*8:聖闘士が纏う鎧。天の神々が纏う衣になぞらえてクロスと読む

*9:ゴジラ的な特撮シリーズ

*10:ゴジラ的な特撮シリーズの黒歴史作品

*11:アニメ作品「忍たま乱太郎」の原作漫画『落第忍者乱太郎

*12:中身のわからない品物の中身を探るために、買わない商品のパッケージを振ったり潰したり曲げたりする行為